ダイオキシンとは:ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCDD)とポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)をまとめて一般的にダイオキシン類と呼んでいます。ダイオキシンは、意図的に作られることはありませんが炭素・酸素・水素・塩素が熱せられるような工程(主にゴミ処分場などの焼却処理過程)で意図せずに発生してしまうものなのです。ダイオキシンの主な発生源はごみの焼却による燃焼工程等の他に金属精錬の燃焼工程や紙などの塩素漂白工程等様々なところで発生する要因があります。

Q1現在の地球環境は一体どれくらいダイオキシンによって汚染されているのか?

A 1 ダイオキシンは廃棄物の焼却炉や物を燃やすところから主に発生していて大気中に放出されます。大気中の粒子などと結びついたダイオキシンは雨などの影響で土壌や川に落ち土壌や水を汚染します。さらにプランクトンや魚に食物連鎖も通して取り込まれていき生物にも蓄積されていくと考えられています。
日本の大都市地域の大気中のダイオキシン濃度は平成8年度の環境庁調査では0.3~1.65pg/m3程度です。(1pg/m3とは、1立方メートルの空気中に1兆分の1gのダイオキシンがあることを意味します。)欧米の都市地域では0.1pg/m3程度ですから日本の都市はこれと比べればかなり高いと言えます。
環境庁では、海、湖、川の底質、生物についてもこの10年間毎年調査をしていますが、ダイオキシン濃度に大きな変化は認められません。環境中から広範囲に検出されているので、引き続き調査をしていくことにしています。

Q2 日本人は毎日どのくらいのダイオキシンを体内に取り込んでいるか?

日本人の一般的な生活環境で日々体内に取り込まれるダイオキシン量は体重1kg当たり0.52~3.53pgと推定されています。(体重50kgの人なら約26~177pgを体内に取り込んでいることになります。)なぜ数値にこれだけの幅があるかと言うと毎日食べている食品中の濃度に関するデータに大きいものと小さい様々な差があるためです。食物からの取り込みは0.26~3.26pgと推定されていて体内への取り込み量の大部分を占めています。その他では呼吸により空気から取り込む量が0.18pg土が手についたりして取り込まれる量が0.084pg飲み水からが0.001pgと推定されています。

Q3 ダイオキシンはどんな食べ物に含まれているか?

ダイオキシンは脂肪に溶けやすいといわれているため脂肪分の多い魚や肉・乳製品・卵などに含まれやすくなっています。日本では魚から欧米では肉などからの取り込み量が多くなっているようです。いずれの国でも体への取り込み量の7~9割程度は魚・肉・乳製品・卵に起因しています野菜は根から水を吸い上げることによりダイオキシンを濃縮することはあまり考えられないとされています。また魚・肉に比べると野菜から取り込まれるダイオキシンの比率は低いものと考えられます。人体へのダイオキシンの取り込みは食習慣により大きく異なります。米国環境保護庁では「バランスのとれた栄養のある食事の利点はそれによるダイオキシンのリスクを補って余りあるということは強調されるべきである」とコメントしています。

Q4 体に入ったダイオキシンはどうなるか?

ダイオキシンが一度体に入るとその大部分は脂肪に蓄積されて体に滞留します。ごくわずかな量は分解されたりして体の外に排出されますがその速度は非常に遅く人間の場合は半分の量になるのに約7年かかるとされています。 

Q5 現在のダイオキシンの量は規制をしなければいけないほど危ない量なのか?

都市地域での一般的な生活環境での取り込み量は最大で3.53pg/kg体重/日 程度ですがもう少し多く取り込む可能性のある条件(すなわち魚をふつうの2倍程度食べる場合やゴミ焼却施設周辺で最も悪い条件を想定した場合)だと最大5.28あるいは5.09pg/kg体重/日と推定され健康リスク評価指針値の5pg/kg体重/日を超える可能性があることが分かっています。この指針値はこれを超えたらすぐに生命に危険があるというような値ではありませんがダイオキシンの主な発生源である廃棄物焼却炉などへダイオキシン発生量を抑制する焼却設備の導入などの対策を講じ排出量を大幅に下げることにより健康影響が起こることを未然に防ぐように各自治体が努めています。

ダイオキシンを減らすためにどのような対策が取られているのか?

日本ではダイオキシン発生の原因の約9割が身の回りのごみや産業廃棄物を焼却する時の発生が要因と言われています。そこで平成9年12月から大気汚染防止法や廃棄物処理法により焼却施設の煙突などから出るダイオキシンの対策を開始されました。またダイオキシンは他にも様々な発生源から排出されると言われているので各自治体では今後もどのようなところからどれだけ発生するかを調査して対策を進めるとされています。 ●大気汚染防止法に基づく措置 :ダイオキシン類については平成9年8月に大気汚染防止法施行令の改正等が行われ現在の基準となる厳しい規制基準が定められました。(平成9年12月1日から施行)なお既設の施設については平成14年から更に厳しい基準となっています。また「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)の施行令等も改正され行政と各自治体と業者との連携した排出抑制対策がすすめられています。

塩素を含むプラスチック製品の使用を控えた方がよいか?

ダイオキシンは塩素が存在する状態で有機物を燃焼させたときなどに発生しますがダイオキシンの発生の詳しいメカニズムは現在研究段階であり詳細についてはまだよくわかっていません。たばこの煙などからもダイオキシンが検出されておりいろいろなものを燃やした時に発生すると考えられます。ごみを焼却する際にごみに含まれるプラスチックが減少するとダイオキシンの発生量が抑制されるかどうかについては現在のところ減少するという研究結果と変わらないという研究結果の両方があって定かなことは言えません。ただしごみの全体量が減少すればダイオキシンの発生量が減るので塩化ビニル製品を含めて物を大切に長く使うことやごみの分別・リサイクルを進めていくことによってごみの発生量を減らすことが大変重要な課題です。またダイオキシンは不完全燃焼によって発生しやすくなることが知られていますのでごみを焼却する場合には高温での焼却・排ガスの適正な処理ができる設備の整った焼却施設で処理することが望ましいと考えられます。

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